NARCOTIC GUITAR |
ボアダムスのベーシストとしても活動しているヒラがフロントマンを務める花電車の3rdアルバム。
非常階段のJOJO広重が社長のアルケミー・レコードからリリースされた1stと2ndでは、ブルー・チアやストゥージズを連想させるような最高のゴリゴリ轟音ロックンロールを聴かせていた花電車であるが、このアルバムでは全く別のバンドとして生まれ変わったと言っても過言ではないだろう。 まず、この作品の中では、ヒラのヴォーカルは聴くことはできない。全編がインストゥルメンタルで構成されている。 我々がサイケデリックな音楽を通じて夢見る天界の憧憬とは異なる、もうひとつの天界へといざなうかのようなトランシーなサウンドは、ひたすらに気持ちがいいだけではなく、何処か本当は感じてはならないような不穏な空気を漂わせている。 聴く者を誘惑する音像の霧の中に突如出現するギターの光は、「もう戻ってこれなくてもいい」とすら思わせるだけの危うい魔力に満ちている。 音楽に対する意識を美しく狂わせる、不吉な名盤である。 |
Tulsa |
初版(Original)が'71年、ほぼお蔵入り(絶版、Collector's Itemに)、、そして時代が彼(Larry Clak)を呼んだ。このUS出版('00)の前、'96年に日本の某ギャラリー(主権者)が自主的に復刻刊行しています。限定1000部。自分はこの日本語版"Tulsa"(+ Teenage Lust)を購入しました(本家US版も購入)。勿論、Larry Clakサイドと契約を交わした正規品です。最初のページに彼の文面があります。『俺は1943年オクラホマのタルサで生まれた。16でアンフェタミンを初めて打って、3年間、仲間と打ちまくった。そしてある日、街を出た。でもそのうちに、またタルサに舞い戻って来てしまった。一度ハリが刺さると決して抜けないってことさ。』この写真集"Tulsa"の全てが集約されています。ドラッグ、セックス、妊娠、暴走、自己破壊、死、現実を直視してる真実がここにあります。
余談になりますが、"Tulsa"の様に日本で出版されてる現実があります。日本もまだまだ捨てたものではないと嬉しく思います。さらに過去、Bruce Weberの"The Andy Book ('87)"、"Bruce Weber ('91)"などは、First Edition(のみ)から完全なるJapan企画、本家America(US)には逆輸入?という形でした。今日、更にの飛躍を期待したいところです。 |