百年小説 |
大きな文字で書かれており、読み仮名もふってあるので、十分楽しめます。夏目漱石さんの小説も収録されているのでよいです。 |
武蔵野 (新潮文庫) |
若き独歩が東京府内から、
自然溢れる都下、武蔵野に居を移し、 そこでエッセイを書く。 日本の随筆の最初の傑作と言われる、 本書「武蔵野」です。 読んでいて元気になります。 なぜかと言うと、 とにかく独歩に屈託がなく、 自然を楽しんでいるから。 とにかく独歩は若く、 どこにもでも歩いていく。 そして感想を書く。 どうでもいいことを書く。 「農家のおばあさんに水をもらい、話し込んだ」とか・・・。 これは一種の青春の記憶です。 田園や雑木林の描写も美しくて、 今は消え去った東京郊外への憧れがかき立てられます。 玉川上水へのピクニック(というのかな)と冬の雑木林の描写が気に入っています。 独歩は女っ気もなく、ひたすら田舎歩きが好きだったようです。 たまに東京に仕事で出かけるときの記述が素っ気なく、微笑ましいです。 明治のアウトドア好きな知識人が書いた傑作です。 |
牛肉と馬鈴薯・酒中日記 (新潮文庫 (く-1-2)) |
この本には、「牛肉と馬鈴著・酒中日記」の他にも、たくさんの独歩の作品を味わうことが出来ます。そして、その物語のほとんどが、あまり明るいものではありません。だけど、読後感は何だかサラリとしています。きっとそれは、国木田独歩という人が、澄んだ眼差しを持っていたからじゃないのかな、と、国木田独歩のことなんて何も知らないのにそんなことを感じてしまう不思議な本です。 |