Bombay Dub Orchestra |
タイトルがこの作品を成立させる要素をわかりやすく説明しています。
インド音楽、クラブミュージック、ストリングスオーケストラが融合した楽曲で 一体どれが主役なのか?と言う点ですが、いずれの要素も突出し過ぎることなく 絶妙なバランスで曲を構成しており、非常に高い完成度でまとまっています。 ディスク2は一枚目の各曲のダブ・バージョンで、ビートを強調した曲や しつこいほどのディレイをかけた、まさにダブと言った感じの曲が収録されています。 個々のリスナーの好みだとは思いますが、やはり本作の聴き所はディスク1でしょう。 インド音楽を取り入れたクラブミュージックの中では、異色のチルアウト系で シタールやタブラを取り入れつつも、穏やかな曲調に仕上がっています。 概して、インド音楽と聞いて想像してしまう粘っこさや、あるいはクラブ系と聞いて 想像する激しさからは程遠い、優しいムードです。 マッシブアタックを彷彿とさせるダブから、ボサノバや密かにドラムンベースまで 多様なビートが用いられていますが、穏やかな雰囲気を壊すことなく見事に融和しています。 どの曲も良曲でオリエンタルな要素を取り入れたチルアウトミュージックとしては 間違い無く最高ランクです。エスニックなムードの音楽に興味がある方は勿論の事、 普段そういった音楽をあまり聴かれない方にもお薦めです。 |
ボンベイ [DVD] |
私は映画も見に行きました。もともとビートルズ好きなので、始めの主人公の
青年の歌で秘孔をぷすっと刺されました。この曲がポール・マッカートニーの書きそうな 曲だからです。 ポール本人は、映画の絵はあくまで音楽の添え物だということを言って映画を 楽しむそうですが、この映画もこの楽しみ方ができると思います。 とにかく、ビートルズが好きでちょっときっかけができると買う気になると思います。 |
Q and A |
インドに暮らすウェイターの少年Ram Mohammad Thomasはテレビのクイズ番組に出場して次々と正解を重ね、最高賞金10億ルピーを獲得する。しかし番組責任者は、満足な教育も受けていない孤児の彼が難問に答えられるはずがないとばかりに、彼をイカサマ容疑で警察に告発してしまう。逮捕された彼が語り始めたその生い立ちに、クイズに答えることが出来たワケが散りばめられていた…。
著者Vikas Swarupはインドの外交官。300頁超の小説ですが、英語は平易きわまりないといえるほどで、大学受験を控えた日本の高校生にも難なく理解できるくらいです。 荒唐無稽な部分もありますし、少年少女向けの寓話といってもよいかもしれません。 この小説が語るテーマは、人間はいかにして学ぶのかということです。 人間は既存の学校教育の中だけではなく、人生において様ざまなことを学び、そのことのほうが、学び舎(や)で学ぶことよりも尊い場合が多いのだということを扱っているのです。 主人公の少年の“学び”は安心安全な場で通常得られるものよりも、危険な手段を通じて獲得したものであるがゆえに、まさに骨の髄までしみこんで、彼の人生を大きく駆動していく力強さをもっています。そうした経験を得ることは、誰にでもできることではありません。読み終わると彼の危うくも波乱に富んだ人生が、なにやらうらやましく思えてくるほどです。 ダニー・ボイル監督の手でされた映画化作品は、かなり換骨奪胎されているとも聞いています。日本で公開された暁には、この小説と比べながら見てみるのが楽しみです。 |