Story Seller Vol2 2009年 05月号 [雑誌] |
読み切り形式の小説が詰まった雑誌?です。
(実は読み切りじゃないのもあるけど、いきなり読んで面白い) そもそも書いている作家がすごくて、 伊坂幸太郎、有川浩、本多孝好など、よくぞここまで、という陣容なのですが、 それぞれが実力を発揮していて最高です。 もちろん読み切りの単行本より短いですが、自分の好きな作家の話も楽しめて、 なかなか手に取りずらい他の作家の作品も味わえます。 ちなみに本多孝好目的で手に取った私は、近藤史恵さんを作者買いする羽目になりました。 恐るべしです。 といいつつ、個人的には1に引き続き有川浩がベストかな、と。 (本多先生も悪くない悪くない 笑) でも、1つの話もつまらないと思わない、充実したアンソロジーでした。 |
子供たち怒る怒る怒る (新潮文庫) |
デビュー作以来の佐藤友哉。
気がついたら彼は三島由紀夫賞作家になっていた。 レビューにも書いたが、デビュー作は粗削りな感じが否めず、それでいて舞城ほどの突き抜けた破天荒さを感じれずにいた。 まぁこの作家はこれからだろうなぁと思いながらしばらく放置していたんだが、世間的になかなか評価の高かった本作が文庫化されたので購入。 読んでみてまず、成長ぶりに嬉しい驚き。 特に『死体と、』と表題作は秀逸。 文章の質が上がり、突き抜け切れなかったドライブ感もしっかり自分なりのテイストを獲得し、舞城とは違う破壊性を持った純文学となっていた。 形としては短編集なんだけど、中編に限りなく近い短編集って感じで、その全ての主役はタイトルにもあるとおり「子供」。 現代社会がどれくらいスレスレでギリギリで爆発寸前の危険状態かってことを示すバロメーターとして、実は最も適しているのは「子供」だったりする。 最後の解説で陣野俊史は、本作のぶっ壊れた(じつはぶっ壊れているのでは子供ではなく大人だ、という主張を佐藤は恐らくしたいのだろうけど)「すぐれてアナーキー」と表現した。 子供って本来はアナーキズムの対極にいるはずなんだけど、どうしようもない現代社会の大人たちのせいで彼らはアナーキストにならざるを得ない、ってかアナーキーな存在になることで大人と戦う。 まぁそんな社会決して正常ではなくて、だからと言って子供たちは大人たちに従順であるべきだ何て僕は1ミリも思わないけれど、この小説をもうちょっと現実化した小説が我らが村上龍の『希望の国のエクソダス』なわけだ。 まぁ何が言いたいんだか良くわからなくなってきたけれど、要するに純文学を担えるような作家達は、そういった世の中のギリギリな現状に敏感に反応し、それを言葉=小説に還元できるわけだ。 そういう人たちを僕は尊敬する。 こんな国にもしっかり警鐘を鳴らす人はいるんだ。 |
1000の小説とバックベアード |
久々に佐藤友哉の小説を読んだ。 全然、変わっていなかったね。 無理に難しい言葉や言い回しを使っているな、という印象を受ける独特の文章。 伏線なしの唐突で強引なストーリー展開。 本人も本当は理解していないのではないだろうか?とも思える難解な純文学的表現。 これはまさに佐藤友哉の小説だ。 内容的にまるで売れそうにないのも佐藤友哉的だ。 |