笹まくら (新潮文庫) |
米原万里さんの絶賛評を読んで買いましたが、予想を大きく超える大傑作でした。
ごくごく平凡な大学職員である主人公。。。。 しかし、過去と現在が同時にフラッシュバックする独特の文体が、 主人公の脳裏を再現するかのような非常な緊迫感を生み出しています。 あの暗い時代の息が詰まるような苦しさ、、、 戦争とか徴兵の重みを、戦争の悲惨さを伝える類書とは違う、 まさに、自分の身の上に迫る内面の恐怖として、ひしひしと感じることができました。 そして、安寧かに見えた主人公の現在の生活にもラストで予想外の亀裂が。。。 これだけの深みある内容に加え、ミステリのような醍醐味まであります。 これだけの傑作なのに、米原さんが紹介してくれるまで聞いたことがありませんでした。 おすすめです。 |
思考のレッスン (文春文庫) |
本を読むコツという章があって、自分で索引をつくる、登場人物表や年表をつくって読むと良い。
これはミステリー小説のようで面白そうだと思いました。 本を選ぶコツも、ちょっと考えてみる、それから本を探す。最初に読書ありきではなく考えが元 にある。書き方もそう。そしてその考えるコツが書かれている本です。 書き方のコツの章では、頭の中でワンセンテンス作り終わってから一気に書け、書き出しに挨 拶を書くな。書き始めたら、前へ進むこと。逆戻りしないこと。休まないこと。中身が足りなかっ たら、考え直せ。そして、パッと終れ。とあるのがなるほどなと思いました。 面白そうだからやってみようと思わされる本です。 しかも対談方式なので読みやすい。お勧めです。 |
ボートの三人男 (中公文庫) |
なかなか楽しめました。三人共自分が可愛くて、身勝手なところがわかりやすくてよろしい(笑)。そういう性格が引き起こす混乱と『マーフィーの法則』的なお笑い満載で、優雅で気品漂う印象だったボートの河遊びがモンティ・パイソンに連なる英国伝統のユーモア溢れるスラプスティックになってました。特におかしいのが、ハリスの言動でしたね。ハムトン・コートの迷路事件や、コミックソングの件や、深夜の白鳥との格闘場面など、勘違いに上塗りするような妙な自信が巻き起こす騒動に笑いました。 |