息子の部屋 ― オリジナル・サウンドトラック |
最高に良いです。 一定の規則正しい波のような、静かでやさしい音楽です。 一人でボーっとしたい時や、眠る前にベッドの中で聴くと 心穏やかになれます。 本当に素敵なCDですよ。 |
バッハ:クリスマス・オラトリオ |
オーケストラのまろやかな音色とコーラスの優しい響きが、この祝祭的な楽曲には非常に似合っている。コーラスは、各声部5人ずつのこじんまりとしたものだが、そこから生み出されるハーモニーの確かな存在感は素晴らしい出来栄えだ。 ソリストは、モニカ・フリンマー(S)、米良美一(C-T)、ゲルト・テュルク(T)、ペーター・コーイ(B)の四名。フリンマーのしなやかで躍動感のある力強い歌声はバッハに似つかわしくないと思う向きもあるだろう。しかしこの祝祭のおめでたい雰囲気には合っているのではないかと思う。米良のふくよかな歌声は、ただ優しいだけでなくとても表情が豊かで、情緒に富んでいる。テュルクとコーイは、繊細で且つ自信に満ち溢れた文句の付けようの無い歌唱を示してくれている。 |
息子の部屋【字幕版】 [VHS] |
父親は何度も息子とのやり取りを思い返し、自分が違う選択をしていたら息子は死なずに済んだかもしれない…という思いにとりつかれます。 大切な人を失ったことのある人なら、誰もが経験する苦しい堂々巡りです。 死を受け入れられないがために、自責の念から離れようとしない父親と、息子宛ての手紙でガールフレンドの存在を知る母親。垣間見たわが子の新たな一面に、彼女は喜びとも思える表情を見せています。 息子の死によって生じた、自身の変化に戸惑う家族。そんな彼らの元にガールフレンドとその友達が訪れます。二人は家族に少しの笑顔と、息子が知り得ないほろ苦い思いをもたらしました。 ラストシーン、二人を見送って思い思いに浜辺を歩く家族は、疲れきっているにもかかわらず清々しい表!情を見せています。 死の悲しみの次に、必ず通らなければならない「不在を受け入れる」ということを見事に描いた作品です。 |
息子の部屋 [DVD] |
感動の傑作という褒め言葉をよく目にするのですが、違います。紹介文だけ見ると泣ける息子の死をドラマチックに演出して家族を号泣させて、というふうに思えてしまうかもしれませんが、違います。ドラマチックな演出はほとんどなく、終始おさえた風景と音楽を続けていきます。
息子の不在というだけでばらばらになっていく家族ですけれど、そのばらばらの描き方加減がうまかったりしまう。表立って大喧嘩はしないけれど、娘が恋人と別れるのも、父親が精神分析医をやめるのも、静かに静かに進行していきます。それは、ドラマチックな手法よりもっとドラマチックで、リアルに思えます。家族の再生もほんのささいなことです。それすらも静かな人間の一コマとして、映画が終わったあとの彼らの人生がリアルに続いていくような手触りを感じられます。 |