![]() 滄海(うみ)よ眠れ―ミッドウェー海戦の生と死〈1〉 |
戦争は男たちのもので、女たちはその無事を祈るしかなかった。一巻の友永大尉と二人の女性、二巻のM大尉夫妻、三巻の三上大尉夫妻、他にも日本側の下士官夫妻からアメリカ側の夫妻まで、夫婦とは、戦時下の愛とは何かをせつないほど知ることができる。また、海戦自体の史料としても膨大な資料、精力的な取材により日本にはタブーと思われるような事実も書かれていて興味深い。戦争に興味のない女性にも読んでもらいたい。 |
![]() ミッドウェー (学研M文庫) |
著者はある意味で当事者である。
ただしこの海戦のとき、 淵田氏は手術直後で病臥し、飛んではいない。 そのあたりの微妙な位置が、本書の価値を高めているようだ。 たとえば、出撃の朝、ベッドから起き出した著者は、 索敵計画を聞いて、不安を感じたという。 また、一段索敵か、二段索敵かという点も、 なぜ二段にするかの理由が書いてある。 偵察機を出したがらない理由らしきものも書いてある。 本書は、高みから見下ろす記述の弱点を回避しつつ、 パイロットの回想録的戦記物ともうまく接続できるような 実際面の話もある。 なにより日本と日本人がなぜあのとき失敗したかを 真摯に見つめる視点を、痛いように感じる。 本書が各国語に訳された理由もわかる気がする。 なにより、現代の日本人に、たくさん読んでほしい。 そう痛切に感じた。 |