愛と青春のシネマ年鑑(10)スクリーン・クラシックス・ベスト |
どれも格調高い演奏ですが、クラシック専門のオーケストラとは、やや趣が異なり、肩肘張らずに、しっくりと耳に入ってきます。特にマーラーの「交響曲第5番 第4楽章 アダージェット」は、20年前に見た「ベニスに死す」の中で流れていた深遠な響きが忘れられず、様々なオーケストラを聴いたものの、当時から脳裏に残っている響きのイメージとはしっくり来ずにあきらめていたものが、このCDのロイヤル・フィルの演奏は「欲しい!」と思っていた響きでした。 |
地獄の黙示録・特別完全版 |
音楽だけを取り出してリマスターしたCDなのですが、う〜んやっぱりマーチン・シーンの独白(ナレーション)が無いと物足りない。あのナレーションが「地獄の黙示録」の世界、音(サウンド)世界の大きな部分を占めていると思う。内容も哲学的であったりして、淡々とした語りでありながら作品の根底に流れる音楽のようにも感じられる。ラストのカーツ暗殺に向かうシーンに流れていたドアーズの曲をコラージュしたような曲も入っていないのも作品としての盛り上がりに欠ける。
是非、映画のセリフや効果音がそのまま入った2枚組LPのリマスターCD化をお願いしたい。 |
地獄の黙示録 特別完全版【字幕版】 [VHS] |
オリジナル版を劇場公開時と、洋画劇場で通算2回鑑賞した後、立花隆『「地獄の黙示録」解読』を読み、本ビデオ【特別完全版】を視聴。
やはり、長くなった分、本作の方が解り易い。特に、後編のフレンチ・プランテーションの場面はベトナム戦争の意義を考えさせる上では必須だと思う。でも多少の歴史的背景知識は必要。立花隆の解読本を読んでおく事をお薦めする。 又、オリジナル版ではエンディングにあったジャングル爆撃シーンが、こちらでは冒頭に移されている。結局、最後でウィラードは爆撃要請はせず、静かにサイゴンに戻って行ったのだろうか? でも、もしカーツの本拠地を爆撃できるのなら、何故あれほど苦労して刺客を送る必要があったのか?シナリオ上の不備ではなかろうか。 視聴の順序としてはやはり、オリジナル版→立花解読本→特別完全版と進むのがベストだと思う。 尚、戸田奈津子の字幕は立花隆の言う通り、不適切な訳が多いので、少なくともカーツのセリフは英語を聴いて欲しい。 |
地獄の黙示録 特別完全版 [DVD] |
飛び回るヘリとドアーズから始まる見事すぎる。
あの有名なワーグナーの曲を空からガンガン鳴らしながら来るヘリ部隊。 圧倒的な迫力の戦闘シーンと、戦場なのにどうしてもサーフィンをやるときかない イカれた大将。統率も何もあったもんじゃない、狂気の戦争これがベトナム。 終盤、なんだかオカルトちっくになってしまったのはちょっと残念。 最後までリアルに狂った戦争を表現して欲しかった。 しかし原作がそうなってるならしょうがない。(読んでないけど) 見終わった後、重苦しい気持ちになるが、それもまた良し。 マーティン・シーンのストイックなかっこよさがたまらない。 こないだ「白い家の少女」を見たのでギャップがw それに、マトリックスでモーフィアス役の 若きローレンス・フィッシュバーンが出てるのに驚きました。 |
地獄の黙示録 [DVD] |
この映画はなく全てのシーンが恐ろしく人間の本性を描いた戦争映画の傑作 弾がんと死体以外は全部本物迫力満点それだけではなく戦争の無益さをちゃんと描いている 最後カーツをナタで殺すシーンの凄さそして恐ろしいさ その後主人公自身が狂っていくところの怖さ 見事な傑作 |
解読「地獄の黙示録」 (文春文庫) |
1980年公開と同時に劇場に足を運んだことを今でもよく記憶している。
ヘリを使用した派手な戦闘シーンとオールバックにしたウィラード大尉が沼から出てくるシーン。 公開前のコマーシャルで大きなインパクトを受けてその興奮も持続しながらの鑑賞であった。 本書にも書かれているが、当時の日本の批評はこの映画を完全に戦争映画と捉えた論調で前半の派手なアクションシーンの割りに後半は退屈な映画になっているとの評価であったが、最初に見た時は正にその通りの感想であった。ただ何か強く心に残るものがあり、その後この映画が話題になる度に新しい発見があったのも事実だ。 初めて本書を読んで知ったことであるが、初回オリジナル版公開当時に書かれている論文で誤訳における微妙なニュアンスの取り違いやキリスト教圏における文化背景の違いという意味でも、数多くの指摘と著者なりの正しい解釈の仕方を指し示している。 オリジナル版公開時にここまで深く読み説く筆者の知識には関心させられるばかりである。 |
『地獄の黙示録』撮影全記録 (小学館文庫) |
映画造りの現場の「地獄」を知るには 本書は実に向いている。 日本の映画は低予算、短期間での製作で 現場の時間の無さ、不眠不休の撮影などは大変な過酷さである点は 以前何かで読んだ。それに対し 「地獄の黙示録」はハリウッドの大予算映画であり 監督もコッポラである。余裕しゃくしゃくで撮影していたのかと思ったら もう どろどろで溜息が出る。これだけで十分映画になれると思った次第である。(そういえば 見ていないが ハートオブダークネスというドキュメンタリー映画があったか?) 本欄で「ファイナルカット」という マイケルチミノの「天国の門」を扱った本と並び 映画を別の意味で知るには 優れた本である。 それにしても映画は大好きだが 映画が仕事でなくて良かった。 |
フランシス・F・コッポラ ~Francis Ford Coppola & His World |
本当に久しぶりの監督作品「胡蝶の夢」公開を記念した、本人のインタビューを含む論評集。特に蓮實重彦との対談は興味深い。
あまり日の当たらなかった作品にもきちんとページが割かれており、「雨の中の女」や「盗聴」、「ランブルフィッシュ」等のパーソナルな作品への評価が高いのも特徴的である。個人的には「タッカ−」への思い入れがあるので、本の中で批判的にでも触れられているのがうれしかった。 その中でも、やはり「ゴッドファーザー」への評価は格段に高く、レストレーション版のDVDの販売を機に、再評価されることになるかも知れない。 かつて「キネマ旬報社」から出版されていた、「世界の映画作家」シリーズ以来の内容。ただ、若干値段は高いかも。 |