たけしの挑戦状虎の巻―たけし直伝 (2) |
たけしの挑戦状(以下、たけ挑)という他の追随を許さない断崖絶壁のようなゲームを攻略本や他人からのアドバイスなしで攻略できた人類が存在しただろうか。絶対に存在しないと断言できる。製作段階の時、たけしの人気は絶頂期にあり、『イヤ‾、たけしさんそんなのゲームとしてメチャクチャですよ。それは辞めましょうよ』って止める人がいなかった為、全世界ゲーム史上類をみない孤高のゲーム内容となってしまった。この当時、たけしは相当ゲームにはまっていたのは確かだ。ポートピア連続殺人事件(エニックスより発売されたアドベンチャーゲーム、以下ポー連)の犯人を知っているってTVで言っていたぐらいだから・・・(このポー連もかなり不条理な行動をしないと解けない)。おそらくこのポー連からヒントを得て進展したのではないだろうか。
ゲームは周知のとおり、常軌を逸した内容で、たけ挑を買った全国の少年少女から販売元のタイトーへ、攻略に関する問い合わせが殺到し、そのあまりの反響に押され前作、たけしの挑戦状虎の巻―たけし直伝 (1) が出版された。しかし、この本では全くゲームが解けないのだ。それについて『攻略本をみてもゲームが解けない』との更に凄まじい反響が巻き起こり、急遽発売されたのが本書である。攻略法がしっかりと明記されており、エンディング画面まで書かれているので、たけ挑がらみの商品において唯一十分に信用の置けるものと言えよう。攻略本とはいえ、なかなか凝ったつくりで、芸人として油の乗っていた頃の毒舌口調でそのままゲームの解説がなされているという素晴らしい出来だ(まえがきは高田文夫氏)。そしてとって付けた理由で、何故こんなややこしいゲームを作ったのか、理由もきちんと最後に書かれているのだ。読んでいるだけでも楽しい内容に仕上がっている。1987年発行でかなり古いですが、入手できる機会があれば是非一読されることをお勧めします。 |
たけしの挑戦状 |
平凡なサラリーマンが
ある日偶然、宝の地図を発見し 宝探しの旅に出発し、 数々の苦難を乗り越え、宝物を発見する。 簡単に言えば、それだけのストーリーだ。 しかし、本作は自由度が高すぎて その目的すら分からず、永遠に街をさまよい続けることになる。 運良く、目的が分かったとしても 2コントローラーのマイクに向かって新開地を熱唱し、 パチンコ屋で延々パチンコをする。 グライダーの当たり判定はかなりシビアだし、 宝の地図が現れる間に、マイクが音を拾ってしまい苦労が水の泡になる。 そんなこんなで、疲れてクリアすることを諦めてしまう。 クリアすることを諦める・・・この行動は当時小学生だった自分には 絶対にあってはならないことだった。 始めたことは、最後までやり遂げる、これを美徳として 教わってきた自分にとって親に対する始めての背徳だったと思う。 高額なおもちゃを買ってもらった上に、途中でクリアせずに 投げ出すこの自分の行為に、大きな罪悪感を感じたものだった。 しかし数年後、振り返ればそれは正解だったことが分かった。 ちっぽけな小学生の自分にはこのゲームは巨大なモンスターだった。 攻略本を手に入れ、興味本位でそれを一読した。 そこには驚愕の内容が書かれていた。 そして思った。諦めて良かったと・・・。 人生で出会う壁は乗り越えられるものより 乗り越えられないものの方が圧倒的に多い。 |